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真山とそのスタッフ達が、小説を制作する過程で行った調査や分析のリポートを紹介。

連続ドラマW「マグマ」特集vol.2 「ドラマ『マグマ』」撮影現場リポート2

2012/05/29

by Kyoko Yanagida

ドラマ『マグマ』がいよいよ動き出す!


いまから7年前となる2005年に連載を開始し、2006年に単行本として上梓した小説『マグマ』。
〝地熱発電〟を全く知らなかった真山は、われわれの足下にエネルギーの可能性が眠っているという事実を知ったときに、記者時代に特ダネを取ったような興奮を覚えたという。

3.11後、急速に存在が知られるようになってきた、その〝地熱発電〟を舞台にした『マグマ』が2012年、WOWOWでドラマ化されることになった。
野上妙子役に尾野真千子さん、御室耕治郎役に長塚京三さん、そして安藤幸二役に谷原章介さんなど、豪華メンバーが集結。約1ヶ月に渡って進められてきた撮影がいよいよクランクアップするとうかがい、5月末のある日、真山とスタッフが現場にお邪魔し、撮影の様子を見学させていただいた。

 
ここで妙子による重要な場面が撮影された。

この日は横須賀にある電力中央研究所(電中研)をお借りして、ドラマ最終話のクライマックスの部分が撮影される予定になっていた。
現場に入ると、すでにセットが準備万端で待っていた。しかしこれは、すべてが作り物ではなく、電中研の中央制御室を、ドラマの設定にあわせてアレンジしたものであるという。自然に見えるので、どこまでが本物で、どの部分がドラマのために作ったものなのかは、訊ねなければ分からない。うかがってみると、スタッフの方が大変苦労して作り上げた映像が、さりげなくモニターに映っていたりする。微に入り細に入り、徹底して作り上げるからこそ、役者の方たちも自然な演技をすることができるのだろう。


中央制御室。ドラマの内容に合わせた映像がモニターに映し出されている。

 


地熱発電所の模型も、徹底して本物のような作り。

 
実際に発電所の運転開始の際に設えられるのと同様の神棚、お供え物が用意されていた。

ドラマの所員役は水色の制服を着ているが、白色の制服を着ている方が数名作業されていた。電中研の方たちだ。本物の制御室であるため、彼らの全面的な協力も得ているとうかがった。

この日、日中は爽やかで、外は過ごしやすい天気だった。しかしこのセット内の気温と湿度は上がる一方だった。余計な音がするため冷房を使えないこともあるが、数カットの撮影にも繰り返し大勢の役者の方たちが集まり、リハーサルを重ねて本番を迎える。周りに控える撮影スタッフの数も膨大だ。さらに、重要なシーンに近づいていることもあり、人の熱気もどんどんヒートアップしていく。うちわを持って俳優さんたちの周りをあおぐスタッフの数が、次第に増していった。


リハーサルと本番の合間には、リラックスした談笑が見られることも。これまで1ヶ月近くをともにしてきた役者さん、スタッフさんたちのチームワークを感じる一コマ。
 
クライマックスの場面にむけて、繰り返し、短いシーンの準備をし、本番を撮り、また準備をし、本番を撮り…という、根気と集中力なくしては務まらない現場が粛々と進められていった。そばで見ているだけでも、緊張したりホッとしたりを繰り返すうちに、目指すべきクライマックスシーンに向けてだんだんと気持ちが高揚していく。画面には映らない、たくさんの人達の時間と労力、そして強い思いの結集がひとつのドラマを作り上げるということを、しみじみと実感した一日だった。

野上妙子というヒロイン。対する御室耕治郎、そして安藤幸二…。これまで読者の頭の中で繰り広げられていた小説『マグマ』の世界が、ひとつの映像作品として、これからテレビで放映されると思うと、ワクワクして仕方がない。 役者の方たち、スタッフの方たちの強い思いが、画面からあふれんばかりに届くことを、今から楽しみにしている。

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