雨に泣いてる
文庫本

2011年3月11日、宮城県沖を震源地とする巨大地震が発生し、東北地方は壊滅的な打撃を受けた。毎朝新聞社会部記者の大嶽圭介は志願し現地取材に向かう。阪神・淡路大震災の際の〝失敗〟を克服するため、どうしても被災地に行きたかったのだ。
被災地に入った大嶽を待っていたのは、ベテラン記者もが言葉を失うほどの惨状と、取材中に被災し行方不明になった新人記者・松本の捜索という特命だった。過酷な取材を敢行しながら松本を捜す大嶽は、津波で亡くなったある僧侶の素性に疑問を抱く。僧侶は多くの自殺志願者を思いとどまらせ地元で尊敬を集めた人物だったが、過去に凶悪事件と関わりがあった可能性が出てきたのだ……。
被災地を舞台にした作品ですが、本作はいわゆる“震災小説”ではありません。
極限の状況で葛藤する新聞記者の姿を通して、私たちが目を逸らしてきた“影”の部分に光を当てたいという強い思いが発端でした。さらに、人はなぜ過ちを犯すのか。その過ちは償えないのかについても考えたいと物語を進めました。
そして、私が今後貫いていきたいファイティングポーズの具現でもあります。
〈2015年1月〉