黙示
文庫本

農薬を散布していた一機のラジコンヘリが、小学生の集団に墜落した。高濃度の農薬を浴びた少年は意識不明の重体に。少年の父親の平井は、農薬の開発責任者だった。
事件の一部始終を目撃していた養蜂家でもあるカメラマンの代田は、テレビ番組で発言する。「農薬の恐怖は、放射能以上だと言っていいんじゃないでしょうか」。使われていた農薬は、ネオニコチノイド。ミツバチの集団失踪現象の犯人とも言われている薬剤だ。
同じ頃、農水省キャリアの秋田一恵は大臣直轄のセクションに抜擢される。命じられた課題は、農産物輸出のビジネス戦略だったが…。
女性キャリア官僚、農薬メーカーの開発者、カメラマン。3人の理想と現実、矛盾と葛藤、そして「危険な正義」。それぞれの戦いが交錯し、思いもよらぬ結末が待ち受ける。
食の安全と農業の可能性をテーマにした『黙示』が、文庫化(新潮文庫)されました。
私にとって、震災後ずっとテーマとなっている「正しさとは何か」「その正しさを疑わなくていいのか」を明確に打ち出すきっかけとなった作品です。
また、産業としての農業の可能性を強く感じ、日本を復活させる切り札の一枚は紛れもなく農業だと確信し、その理由を訴えた作品でもあります。
今までとは異なる真山作品をお見逃しなく!
〈2015年7月〉