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真山とそのスタッフ達が、小説を制作する過程で行った調査や分析のリポートを紹介。

土曜ドラマ「ハゲタカ」特集vol.1 「日本が抱える問題を正視し、問う勇気を!」

2006/12/11

面白いのはドラマか、小説か。

2007年2月17日午後9時、NHKの土曜ドラマで、拙著『ハゲタカ』と『バイアウト』を原作としたドラマ『ハゲタカ』(全6回)が放映される。
自分の書いた小説がドラマになる-。この夢のような話に改めて私は、『ハゲタカ』という作品の持つ生命力の強さを感じた。
小説とは完成したと同時に著者の手を放れ、読者のものになる。
日々、そのことを痛感させられる。そして今、その小説がドラマという新しい世界の中に飛び込み、新しい物語を紡ごうとしている。
大いなる期待とちょっぴり不安も抱きながら、ドラマと小説の微妙(スパイラル)な関係を、様々なエピソードを織り込んでお届けしていきたいと思う。

日本が抱える問題を正視し戦う勇気を!

「ドラマと小説は別物です。なので、ドラマとして面白い『ハゲタカ』を見せて下さい。」

ドラマのオファーを戴いた後、NHKのドラマスタッフの方たちとお会いした時、まずそう伝えた。

手元に届いたドラマ「ハゲタカ」の脚本。
扉をあけてすぐのころに原作 真山仁という文字を見た時は興奮を抑えきれなかった

これは、社交辞令ではない。2作品合わせて4冊分。ページ数にして約1500ページにも及ぶ膨大な物語が、6時間のドラマに凝縮されることは不可能だ。そこで原作者が、「こことこことは絶対外して欲しくない」なんぞと言い出すと、単なるあらすじドラマに終わってしまう。

それより、原作者が「へえ~、こんな風に来たか」と思うような昇華があった方が、絶対面白い。それが、今まで数多くの原作を元にしたドラマや映画を観てきた1ファンとしての実感だった。

ただ、1つだけお願いしたことがあった。「極端に言えば、主人公の鷲津が女になったっていいですが、この小説の中で訴えたかったテーマだけは残して欲しい」と。

『ハゲタカ』や『バイアウト』のテーマについては、このホームページ内の“真山の礎”のコーナーを見て戴ければと思うのだが、分かりやすく一言で言えば、「言い訳をしながら生きることはもう止めよう」ということだ。

日本人は何かうまくいかなくなるとつい「誰かのせい」にしてしまう悪い癖がある。

時にはそれもいいだろう。だが、それを繰り返してばかりでは、いつかは滅びることになる、現代ニッポンがおかれているのは、そういう厳しい時代なのだ。

小説『ハゲタカ』『バイアウト』の出発点はそこにあった。勇気を持って日本の国が抱える問題を正視しようじゃないか。そんな想いを込めた。ドラマ「ハゲタカ」が、大きな勇気を我々に与えてくれることを願ってやまない。

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